かつて合格率3%を切っていた「旧司法試験」。私はその地獄のような制度から新試験への移行期を、社会人として駆け抜けました。

今の予備試験と何が違うのか?あの頃の絶望的な難易度を肌で知るからこそ見える、今の時代だからこそ可能な「最短合格のヒント」を比較形式でお伝えします。

ご存知ない方もいらっしゃると思いますが、現行の予備試験or法科大学院から司法試験という流れの制度の前は、司法試験一発勝負で司法修習行きが決まっていたのですね。

それを便宜上「旧司法試験」と呼ばせていただいていますが、その司法試験ってどんな試験だったか興味はないですか?今でも旧司法試験が予備校カリキュラムに取り入れている場合もありますしね。

私は旧司法試験から現行制度への移行期に社会人受験生でしたが、ここで旧司法試験と予備試験含んだ現司法試験の違いを比べてみたいと思います。

司法試験制度は目まぐるしく変更されていますが、私が知っている、現行制度の前の制度を「旧司法試験」としてお話します。

旧司法試験とは

旧司法試験は現司法試験と同様に、弁護士・裁判官・検察官という法曹三者の登用国家試験でした。旧試験は2000年から始まりましたが、2006年から新司法試験制度の法科大学院ルートも並行して設置されました。

この並行制度は経過措置として2011年まで続きます。この年を最後に、旧司法試験は廃止され、同年より予備試験の実施が開始され現在に至っています。

旧試験の試験概要・科目・日程

旧司法試験は予備試験と非常に近い形で実施されていました。 実施科目は

  • 憲法
  • 民法
  • 刑法
  • 民事訴訟法
  • 刑事訴訟法
  • 商法

の6科目です。

一次試験

一次試験は一般教養試験です。論文と短答がありました。ここは特に受験資格要件はありません。年齢・学歴・国籍不問でした。

しかし、一次試験免除要件はありました。短大以外の大学を卒業又は2年以上在学し、一定の単位取得者は一次は免除でした。

免除該当者は大学の成績証明書の添付が必要でした。 私は大学卒業後の司法試験受験だったので、母校に成績証明書を貰いに行った記憶があります。その場でもらえたか、後日だったかは覚えていませんが。

二次試験:短答式試験

一般的に言われている「司法試験」はここからと言っていいでしょう。例年5月の10日前後の日曜日に実施されていました。短答式とはマークシート解答です。肢が5つあってそこから択一するのです。

受験業界では当時、「短答」と呼んでいる人間はほぼおらず、みな「択一(たくいつ)」と呼んでいました。(※現在は短答式試験が正式名称ですが、旧試験時代は択一が一般的でした) 科目は憲法・民法・刑法の「上三法」。20問づつの計60問。これを3時間30分で解答するのです。

必要以上に長時間と思われる方もいらっしゃると思いますが、1問につき3分30秒しか掛けられません。これ、結構過酷です。

三次試験:論文式試験

論文は択一通過した者だけが受験できます。例年7月の20日前後、土日の2日間かけて実施されていました。論文試験は現司法試験の論文とほぼ同じ、司法試験用六法を使用しながら試験を受験します。

科目は憲法・民法・刑法の上三法と民訴・刑訴・商法の計6科目。各科目2問づつで1科目2時間与えられます。つまり、1日6時間を論文試験に費やします。これは択一以上に、真夏ということもありハードでした。

四次(最終):口述試験

論文突破した者は最終試験に臨むことができます。それが口述試験。科目は憲法・民法・民訴・刑法・刑訴の5科目、ですが、口述自体は憲法・民事系・刑事系ということで行われます。

法律のプロである試験官2人と受験者1名の面接形式で試験は行われました。 試験は質問されたことに解答する形で始まり進んでいきます。

解答に詰まった場合に助け舟を出してくれることもあるようですが、緊張は半端ないようです。時間はトータルで30分~60分弱。 合格発表は11月上旬。最終合格できれば、次はもう司法修習です。

旧試験の合格率

旧司法試験の合格率はいかほどだったのでしょうか。法務省にまだデータが残っていますので転載させていただきます。

2006年以降の新旧並行期は大きく合格率が下がっていてあまり参考にならないので、単独実施されていた2000年~2005年までのデータになります。

年度出願者短答合格論文合格最終合格合格率
平成12年36,2036,1251,0269942.75
平成13年38,9306,7641,0249902.64
平成14年45,6226,451,2441,1832.59
平成15年50,1666,9861,20111,1702.33
平成16年49,9917,4381,5361,4832.97
平成17年45,8857,6371,4541,4643.19

旧司法試験と予備試験の違い

新司法試験の一部である予備試験は、旧司法試験と非常に似ている試験だとお話しました。共通点は多いが、もちろん、違いもあります。

そこで2つの試験の違いについてお話してみたいと思います。

受験資格の違い

予備試験には受験資格要件は存在しません。年齢・学歴・国籍不問です。 しかし、旧司法試験にはいわゆる司法試験の前段階で一般教養の試験がありました。

一般教養試験では受験資格要件はありませんでしたが、一定の学歴を満たしていれば免除され、二次の短答試験から始めることができました。

つまり、実質的には受験資格要件が存在していたのですねここをクリックすると同ページ内参照箇所へジャンプします。

科目の違い

まずは科目・科目数の違いです。旧司法試験は上記ある通り、一次を除いた法律科目は全6科目です。 予備試験は全部で11科目になります。

その意味では予備試験の方が準備は大変です。

試験数の違い

予備試験はあくまで司法試験の受験資格を得るための試験にすぎず、予備試験合格しても翌年の司法試験に合格しないと弁護士にはなれません。

結局、司法試験合格までは大きな山2つ越えなければならないのです。 旧司法試験は試験一発勝負です。一般教養を除けば3回試験があり、全部合格すれば司法修習生になれます。

つまり、大きな山は1つだけということになります。

合格者数・合格率の違い

旧司法試験は、合格者数1000人程度に揃えており、実際に毎年1000人前後の合格者がいました。合格率は3%切るぐらいです。合格者数はともかくとして、合格率はいかにも低いですよね。

司法書士試験も低いですが、それでも4~5%台はあります(大差ありませんが)。 予備試験も旧司法試験予備試験ほどではありませんが、かなりの低合格率です。最新の令和4年度で3.6%、合格者数は472人でした。

現司法試験と旧司法試験試験の違い

予備試験と旧司法試験を比べたのは、その実施等について共通点が多いからでした。何なら新旧の司法試験の違いはどこになるの?ということで、違いを挙げてみたいと思います。

受験資格の違い

旧司法試験では前述した通り、一次は受験資格要件はないが、学歴次第では免除になり二次の短答から始められるという事でした。

現司法試験では、予備試験合格者or法科大学院課程修了者しか受験できないようになっています。

科目の違い

旧司法試験は法律科目6科目でした(「旧司法試験の科目と日程」へジャンプ)。 新司法試験は短答と論文だけですが科目数は8科目になります。「司法試験の試験科目(工事中)」参照ください。

日程の違い

旧司法試験は5月に始まり、3回の試験を経て最終的に合格者がわかるのは11月上旬です。つまり、約半年の長丁場になるのです。 現司法試験は7月に集中して行われます。

日程的には4日間ですが、中頃の土日は含んだ4日間、最初の3日間は論文試験、最後の1日は短答式です。短期集中型と言えそうですね。合格発表は11月です。

合格率の違い

前述のように、旧司法試験は3%を切る合格率でいかにも難易度が高い試験という印象でしたが、新司法試験はどうなのでしょうか。

令和4年度司法試験は、合格者数が1403人、合格率は45.5%でした。なぜ新旧でこうもかわるのでしょうか。受験生のレベルが上がったから?

現行司法試験の合格率が高い理由

受験生のレベルが上がったというのはある意味その通りです。

現司法試験の受験生は、予備試験という極めて厳しい試験を勝ち抜いている受験生だし、法科大学院という法律家養成機関で学んできた者たち。

多種多様の集合体であった旧司法試験の受験生に比べて、現司法試験の受験生レベルが高いのは制度上当然なのです。

旧司法試験は難しすぎだって本当?

旧司法試験と現行司法試験の難易度について議論があるのご存じですか? 「旧試験は難しすぎる!」と。私は旧司法試験時代の受験生でしたが、思い出してみると、5年受験生は当たり前、合格までの受験生期間平均が5年~7年ぐらいだっと記憶しています。実際、どうなのでしょうか。

私は、あくまで印象ですが、試験問題の難易度はに関して言えば旧司法試験の方が高いということ。その中身について、短答・論文に分けてお話します。

旧司法試験の短答の方が複雑

旧試験と予備試験との比較になりますが、短答は旧試験の方が確実に難易度高いです。

予備試験の短答は旧司法試験に比べてオーソドックスと言いますか、ヘンな問題がないような印象は持っています。短答試験の趣旨である事務処理能力を問う問題が出されているようですが、それよりもベーシックな知識を問うているような問題が多い印象はあります。

ただし、予備試験は旧試験受験生からすれば、科目数はが多くて準備は大変だな(8科目)とは思います。

旧司法試験の短答は科目数は憲民刑の3科目ですが、当時の短答の隠れた趣旨である「受験生のふるい落とし」感が露骨でした。かなり難易度が高かったと思います。知識を問うというのもあるでしょうが、事務処理能力の高さが必要でした。

クロスワードパズルのような問題もありましたし、個人的には特に刑法がきつかったです。

論文試験は現行試験の方が難しい?

論文の難易度については、予備試験司法試験共に旧試験の方が難しいような気がしています。科目間格差がありますのですべてがこうとは言い切れません。論文問題は実際に解いていかないとわかりづらいと思いますが、今の私にはそんな気力もスキルも無いのでしません。いずれにしても旧司法試年の方が難しいと思います。

もっとも、短答と同じく科目数の差があるので。トータルでは同じようなものかなと思います。

問われ方は難易度の差の一つ

旧試験と新試験の特徴についてお話しておきましょう。旧司法試験論文試験は、現行試験に比べて問題文が長いという点があると思います。予備試験含めた現司法試験の論文試験問題文は結構長いです。読むのも大変なぐらい。それは、問われていることが明確ということを意味します。当然、答案も書きやすくなります

他方、旧試験の論文問題文は総じて短いです。これは問われていることを絞りづらいということを意味します。結果、答案は書きづらくなります。 何でしたら、旧試験では「〇〇について述べよ」という所謂「一行問題」も散見されていました。これは構成も難しいですし、知識の網羅性も現行の比ではありません。答案書くのにかなり大変です。

この特徴は難易度に差が出る理由のひとつだと思います。現役受験生の方が旧試験の問題を解くとその差が明確に出ると思います。

新旧司法試験難易度の差はむしろ環境面

旧司法試験制度と現行司法試験制度、問題の難易度には差がある部分もありますが、科目数その他の差があるため試験自体の難易度はトータルで見れば大きく変わるものでもないと思います。しかし、環境面加味すれば現司法試験制度の方が合格はしやすいと感じています。

理由は2つ。ひとつは、現行の方が受験生のレベルが総じて高いかもしれません。旧司法試験時代までは独学受験生が多めと感じていました。旧司法試験も独学で合格できるような試験ではありませんでしたので、10年受験生続けてますなんて人何人か見てきましたし、「苦節何十年」という強者受験生もいたそうです。

ロマンはあるかもしれませんが、合格率は低くなります。今でもいないことないでしょうが、当時に比べるとだいぶ減ったんじゃないかと思います。

2つ目は1つ目の理由ですが、司法試験予備校の対策がかなりハイレベルになっていると思います。私受験生だった経験から見て当時の受験対策がダメだったとは言いませんが、今はノウハウの積み上げや科学の進歩でかなり進化していて的確かつ効率的だと思います。

というわけで、司法試験が合格しやすくなったのは、予備校の力がかなりの部分で貢献していると思います。当時の内容と今の内容比べても、リーガルマインドを復習にうまく取り入れている印象はありますし、論文対策講座も非常に効率的。

まとめ

すでに過去の試験である旧司法試験ですが、論文試験の難易度含めて現司法試験制度とは異なる部分もいくつかあるのですね。

現司法試験ももちろん難易度はきわめて高く大変な試験なのですが、旧司法試験の別の意味で大変な試験だったということです。 未だに予備校カリキュラムとして利用されている理由は、もちろん利用価値があるからです。

旧試験は確かに伝説的な難易度でしたが、今の予備試験も決して甘い試験ではありません。

しかし、「正しいツール(予備校)」をスマホ一つで使いこなせる今の時代、社会人の逆転合格は、私たちの時代よりも確実に現実味を帯びています 私のような遠回りをせず、最高の環境を味方につけて最短ルートを選んでください。

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