司法書士の科目

司法書士は難易度が高いと言われる所以の一つに「試験科目数が多い」ということが挙げられると思います。行政書士試験だと6科目、司法試験予備試験でも9科目。

その試験科目について解説していきましょう。難易度や他資格試験との比較もしてみたいと思います。

司法書士の試験科目

司法書士試験は全部で11科目出題されます。それは以下の通り。

  1. 憲法
  2. 民法
  3. 刑法
  4. 商法・会社法
  5. 民事訴訟法
  6. 民事執行法
  7. 民事保全法
  8. 供託法
  9. 司法書士法
  10. 不動産登記法
  11. 商業登記法

優先順位は民事系科目

初心者の方ではピンとこないと思いますが、ざっと眺めて憲法・刑法・司法書士法の3つを除いてすべて民事系法律です。民法の派生法ですね。これが司法書士試験の科目上の特徴といえるでしょう。

民法を基本に、不動産登記法、商法会社法、商業登記法、供託は民法の特別法で、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法は民法の手続法ということになります。勉強するにしても、優先順位は当然に民法を頂点とした民事系科目に置くべきでしょう。

試験科目別解説と難易度

個別科目解説に入っていきます。取得難易度も併せてご確認ください。上から数えて4科目(民法/不動産登記法/商法会社法/商業登記法)が主要4科目、それ以下7科目がマイナー科目と言われています。

民法

民法は司法書士試験において最重要科目になります。問題数も多いし、難易度の非常に高い問題がズラリ。かなり細かい知識が要求されます。

「私法の一般法」と呼べるもので、「私たちの社会生活の基本的なルール」になります。民法は1044条まであるそれは膨大な法律で、その中でもいくつかの項目に分けられています。

物権法が最も重要

司法書士の業務として登記申請のスペシャリストということから、物権法が最も重要になります。その中でも物権変動や担保物権抵当権あたりは、非常に細かい知識が問われ、結果、かなり難しい問題が出題されます。

民法の難易度

民法は司法書士科目の中でも最重要でありかつ、最も難易度が高い科目になります。ちょっと志向は異なりますが、知識の細かさで言えば司法試験以上ですね。過去問を細かく検討してどんなところまで問われているのかをチェックしておくことは重要になるでしょう。

:民法の難易度S級

不動産登記法

不動産にはその現況や権利関係の公示という「登記」が必要なため、その不動産登記の手続が定められた法律が存在しますが、それが不動産登記法です。民法177条を具体化した法律になります。

民法177条

不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

民法に並ぶ重要科目

不動産登記法は、司法書士試験においては科目的には民法に並ぶメイン科目になり、出題数も多く記述式問題も出題されます。

講座を取ると民法から学ぶカリキュラムが殆どですが、この不動産登記法も同時に学ぶことが多く、それだけ準備が必要ということになります。民法同様、これが苦手な人は試験合格は難しいと言わざるを得ません。

不動産登記法の難易度

民事系法律でもちょっと特殊で、法律学んだことのある方でも戸惑う科目と言えます。さらに記述式問題も待ち構えているので、難易度は非常に高いと言えるでしょう。

記述式問題は、司法試験の論文問題のようにあらゆる論点・パターンの問題をこなしていくことが大切で、アウトプットに時間を掛けていくことがポイントです。

不動産登記法の難易度S級

商法・会社法

商法と会社法は一応、別の法律なのですが、以前は同じ法律でした、というよりも、商法の一部に会社法があったのです。商法とは文字通り、「商いの法」です。物の取引については民法にも規定はありますが、商法は民法の特別法であり、商行為・営業における取引については民法よりも商法規定が適用されます。

会社法とは、「会社」という営利団体における設立や組織・管理・運営を定めた法律です。会社にはいくつかの形態がありますが、メインは「株式会社」になるでしょうか。司法書士試験のメイン科目のひとつに商業登記法がありますが、これはこの会社設立の手続法という感じです。

商法・会社法の難易度

民法や不動産登記法ほどではありませんが、商法・会社法も重要科目と言えます。重要科目である商業登記法と密接な関係がありますし、細かな知識が問われますのでしっかり準備しましょう。

会社法は条文がわんさかありますので、ある程度はメリハリ付けて効率よく取り組む必要がありますね。

:商法会社法の難易度A級

商業登記法

上の不動産には登記が必要ということですが、会社設立にも登記は必要です。その他、商法や会社法に規定のある登記すべき事項の手続を商業登記法と言います。

商業登記法は重要な科目

この商業登記法も、講座を取得すると商法・会社法と部分的に同時進行で学習を進める場合が殆どです。記述式問題も出題されますし、民法・不動産登記法に次ぐ重要科目と言えます。

商業登記法の難易度

商業登記法は不動産登記法以上に実定法(不登法なら民法。商登法なら商会法)の知識がベースになります。つまり土台の商法会社法がしっかりさせることが最重要対策と言えます。

その意味では不登法より難易度はワンランク落ちると言えます。いずれにせよ記述式もありますので、しっかり準備は必要ですが。

商業登記法の難易度A級

憲法

憲法とはいろんな言い方ができると思いますが、国家の基本法ということができます。すべての法律は憲法規定がもとになっているのです。

憲法は我が国の憲法である日本国憲法から出題されます。総論・人権保障・統治機構に分かれており、人権保障と統治機構から8割9割出題されます。

憲法の難易度

司法書士試験における憲法はメイン科目ではありません。問題数も多くないし難易度それほども高くありません。それゆえ、良い得点源になり得る科目です。落としてよい科目のない司法書士ですが、それゆえ取れるところはしっかり得点することが合格のポイントになります。

:憲法の難易度B級

刑法

刑法は皆さんイメージ沸きやすいでしょうね。まさに刑罰の法律です。厳密にいえば、刑法は憲法の派生法といえます。憲法31条の罪刑法定主義を具体化したものが刑法ですからね。

刑法は総論と各論に分けることができ、総論は刑法理論が主、各論が刑法規定にある刑罰の部分です。どちらかというと各論部分が出題される傾向が強いと言えます。

刑法の難易度

司法書士試験においては、憲法同様、重要度は高くありません。こちらも憲法同様、得点源になり得る科目です。逆に重要でないからこそおろそかになりがちです。捨て科目は作れない司法書士、せっかくの得点源ですからそこは注意ですね。

:刑法の難易度B級

民事訴訟法・民事執行法・民事保全法

3科目まとめて。「民事」と付いているので民事系の法律ということはすぐにお分かりだと思いますが、こちらはすべて手続法ということになります。

手続法とは実定法を実現する手続の法律のこと。実定法とは民法や刑法のことで、「何々したらこうなる」とか規定されていますが、それを実現するのはまた別の話です。違法なことをすれば罰せられたりするわけですが、罰せられるにもきちんと手続を踏む必要があるわけで、そのための手続法なのです。

民事訴訟法は民事裁判における手続きを定めたもので、民事執行法は強制執行などの手続きを定めたもの、民事保全法は財産や訴訟等の係争物を保全して隠滅して利できないようにするための手続きを定めた法律です。

民事訴訟法・民事執行法・民事保全法の難易度

民事訴訟法は若干つかみどころがない科目と言えなくもないですが、司法書士においてはそこまで難しく考える必要はないと思います。他の2つ含めて簡単とは言いませんが十分得点源になります。

民事手続法の難易度B級

供託法

供託とは、金銭や有価証券、物品等財産を供託所に預けて管理してもらい、その供託所を通じて債権者に取得させて債務の履行等の目的を達成させる制度で、その手続法が供託法になります。

供託法の難易度

出題数も少ないし、重要な科目とは言えません。酔って難易度も高くはありません。過去問チェックしておきましょう。

供託法の難易度C級

司法書士法

最後、司法書士制度を定める法律です。司法書士試験ですから、こんな法律が出題されても不思議ではありませんよね。

司法書士法の難易度

こちらも押さえるべきを押さえておけば正解できる科目です。

司法書士法の難易度C級

受験生が苦手意識を持ちやすい科目とは

11科目もありますから、どうしたって得手不得手な科目も出てくるはずです。そういうのって個人差あるのですが、なぜか結構共通するのですね。というわけで、司法書士受験生が苦手意識を持ちやすい科目を3つ挙げてみます。

  • 民事訴訟法:どこを勉強しているのかわからなくことがあり体系的なイメージがしづらい
  • 商法会社法:特に会社法が範囲が広い割に勉強が報われなく後回しになりがち
  • 不動産登記法:民法とはあまり関係ない錯覚に陥りがち

あくまで苦手意識ですが、この意識は払しょくしておかないと最後まで引きずる可能性もあります。司法書士予備校もその辺は把握しているようで、勉強法に工夫をしているふしがあります。最初が肝心ですので、適切な勉強法で乗り越えていきましょう。

司法試験受験生が司法書士試験に苦戦する理由

一般的に言って、司法書士試験より司法試験の方が難易度が高いと言われています。が、その司法試験受験生が司法書士試験受験しても苦戦する事象がよく起きます。なぜなのでしょうか。

第一に理由は、受験科目の違いになります。司法書士試験には司法試験には出題されない不動産登記法、商業登記法が重要科目として出題されます。慣れない科目に戸惑う受験生が多いそうです。ちょっと舐めていたというのもあるかもしれませんが。

もう一つが問われる知識の細かさです。そもそも両職業では同じ法律家でも問われているものが異なります。弁護士にはいわゆるリーガルマインドが必要ですし、司法書士は実務知識が大事になってきますので試験問題も細かいです。

司法試験受験生も新たに司法書士目指すのであれば、4割ぐらい戻って勉強しなおし必要があるのではないかと思われます。

科目別配点と問題数

問題数は全部で72問。択一式が70問、で記述式問題が2問です。

配点は択一式が1問3点で70問全問正解で210点、記述式問題は1問35点満点で2問満点で70点、全問正解で280点満点ということになります。

科目別問題数は以下表にまとめておきました。

科目 問題数
民法 択一式:21(63点)
憲法 択一式:3(9点)
刑法 択一式:3(9点)
商法・会社法 択一式:8(24点)
民事訴訟法 択一式:5(15点)
民事執行法 択一式:1(3点)
民事保全法 択一式:1(3点)
供託法 択一式:3(9点)
司法書士法 択一式:1(3点)
不動産登記法 択一式:16(48点)
記述問題:1(35点)
商業登記法 択一式:8(24点)
記述式問題:1(35点)
72(280点)

 

司法書士試験の出題形態

司法書士試験問題の出題形態にも触れておきましょう。2通りあります。

  • 択一式
  • 記述式

択一式

まずは択一式。マークシート方式といった方がわかりやすいでしょうか。問題文の解答の肢があって、その中から正解を選ぶというものです。これは全科目あります。

記述式

不動産登記法と商業登記法だけは別の出題形態があります。記述式といわれるものです。

問題文として、様々な資料を与えられ、それを法律的に組み立てて書式に関する問題を解答するという形態。ちょっと言葉ではわかりづらいかもしれませんが、不動産登記や商業登記を申請したりする仕事ですので、それの実戦訓練的なものとイメージしておいてください。

まとめ

以上が司法書士試験で出題される科目についてです。司法書士試験は科目数が多いながらも捨て科目がないというハードな試験ですが、そのほとんどが択一問題ですので他の法律資格試験とはバランスが取れていると言えなくもありません。

もっとも、法律既学習者でもあなり馴染みのない登記法がメイン科目ということもあり、効率的な勉強法を確立することが合格のポイントにはなってくると思います。やはり、苦手・高難易度の科目をいかに克服するかは大事になってきますから。