
司法書士試験って過去問対策だけで合格できる試験なのでしょうか?
過去問とは過去の本試験において実際に出題された問題のことですが、この過去問だけをしっかり解いていくことによって合格を勝ち取れる試験かどうかが受験生予備軍の間ではひそかな論点になっているようです。
確かに、それが事実あれば対策が明確な分勉強がしやすく独学でも狙いやすくなりますし、過去問だけでは厳しいとなれば何らかの試験対策が必要ということになります。気になるのも無理はありません。
実際どうなのか?解説してみたいと思います。
目次
司法書士は過去問だけで合格できる?
司法書士試験、過去問を解くだけでの合格はできるのでしょうか?おそらく過去問を解いているだけでは合格は難しいと思われます。
理由は、一言で言えば過去問だけ解いていても過去問を超えられないからです。なんか哲学的な言い方になってしまいましたが、実際そういうことなのです。
過去問は、試験問題のレベルを知ることができますし出題傾向も把握できます。過去の本試験に出題された問題は、未来の本試験の絶対的な指針ですし勉強するにあたって必須な教材であることは間違いありません。
だったらなぜ過去問だけでは合格は難しいのか。もう少し詳しく解説していきましょう。
司法書士は合格ラインの競争が激しくて高い
最大の理由は合否当落上の競争が激しく過去問だけではそこから抜け出せないからです。
司法書士は相対評価であり、自分がライバル受験生より多くの点数を取らなければ合格できないっ試験です。司法書士試験は合格点ラインの競争が極めて激しく、7割取っても不合格になるような試験なのです。
1問の正誤が合否を左右する世界。ここから抜け出すためには過去問だけでは心許ないのです。過去問だけしっかりしていても6割程度、せいぜい7割弱程度です。
合格ライン付近の受験生はみんな過去問などしっかり押さえています。そこから抜け出すには過去問だけ解いていても合格は厳しいのはお分かりいただけたと思います。
司法書士講師から聞いたお話
私、何年か前に某大手予備校で教鞭を執っいた司法書士試験講師とお話する機会がありまして、こんなことお聞きしました。
「司法書士試験に合格するには過去問だけじゃ不十分だ。過去問をしっかり仕上げてくる受験生はたくさんいる。そこから抜け出すにはプラスアルファが必要」
旨のお話でした。
司法書士試験を知り尽くしているプロがそう感じているのですから、やはり過去問だけでは不十分な試験なのでしょう。司法書士試験は基本的に知識を問われる試験です。だから細かいところを問われるのであって、そこに対応できるか否かが試験の合格を左右するのですね。
司法書士で合格ラインを突破するためには
過去問だけでは6割程度しか取れないなら、何とかして7割5分ぐらい取れるようにしなければなりません。差の1割5分を埋めるプラスαはなんなのでしょうか。それは未知の問題に対する対策です。未知の問題とは過去に出題されていないというよりも、あなたが触れていないという意味合いが強いと思ってください。この未知の問題にも対応できる力を養うことが大事になってきます。
その対策は以下3点でできると思います。
- 過去問をもっとさかのぼって潰す
- 過去問は解くだけでなく「検討」する
- 予備校の答練や過去問演習を受講する
過去問だけ解いても合格は厳しいですが、要は使い方です。使い方次第では十分司法書士合格圏内に届くと思います。以下詳しく解説します。
過去問をもっとさかのぼって潰す
過去問はどのくらい潰せば大丈夫だと思っているでしょうか。5年?10年?足りないと思います。それでは6割から抜け出せません。過去問は30年ぐらい遡って潰してほしいと思います。もっと遡れるならもっと遡りたいです。最低30年ですかね。
未知の問題とはあなたが触れていない問題という意味合いが強いですが、10年程度遡ったところではまだ未知だらけだと思いますよ?10年さかのぼれば近年の出題傾向は見れると思いますが、未知の問題はまだまだ潰せる余地はあります。
司法書士はなるべく知識の穴を空けないことが大事です。知識の穴を空けないということは未知の問題を極力減らすということに他なりません。
過去問は解くだけでなく「検討」する
多くの方が過去問について誤解しているのかなと感じています。それは過去問を解いて終わらせてしまっているのではないかということ。過去問は解くのではなく検討するものです。
過去問を練習問題、ヘタしたらミニテストのように考えているのだとしたら、それは6割すら取れないのではないでしょうか。前にも言いましたが、過去問は教材です。過去問を教材として利用することが大事になってきます。それが検討するという意味になります。
具体的には、
- 過去問とテキストをリンクさせる
- 1回では終わらせず何度も回していく
過去問とテキストをリンクさせる
要は過去問とテキストをリンクさせ情報を一元化させるのです。
過去問を1度潰したらテキストに戻ってその部分をマークすると同時に過去問の情報を入れます。どの部分を問われた?出題形式は?出題回数は?等。それこそ30年の出題傾向がテキスト見れば一目瞭然になります。
テキストは合格まで使う唯一の教材と言いましたが、こういうことです。復習するにしてもどこを重点的にすればいいのかもわかりますし、過去問をちょっと変化させて出題される未知問題(たまにあるようです)、しっかり検討しておけば無抵抗で終わることはないでしょう。
1回では終わらせず何回も回していく
練習問題なら1回解いて「正解です!」「間違えちゃいました」で終わりですが教材ですから過去問は何度も解きます。もちろん、復習のためです。演習の意味は解くたびに薄れますが、復習なら解くたびに身に付きます。
何回回せばいいのか?これだけ回せばOKは個人差ありますし、できるだけというのが正直なところです。復習ですから、実感できるまでとしか言えません。
予備校の答練や過去問演習を受講する
予備校の答練や過去問会陰集を受講したいです。市販のオリジナル問題集でも未知の問題には触れることはできますが、目的はそこではなく本試験で7割5分取ることです。そのためにはちゃんとした解説が欲しいです。
講師からの解説には問題自体の解説はもちろん、未知の問題対策に対するヒントや注意点も必ず言及されます。それは、市販問題集の解説にはないものであり、ここに大きな意味があると思っています。
フルコースの講座受講がベストですが、単科で受講するのでもいいです。予備校受講には、外にいては絶対に入ってこない情報が手に入ることも大きな恩恵になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。司法書士は過去問を解いているだけでは合格は厳しいというのが真実でしょう。
ただ、それでも過去問はきわめて重要な情報であり教材です。しっかり過去問は検討し自分の血肉にしてください。過去問は解くのではなく検討する、これが過去問の正しい使い方だと思います。