
普段、普通の社会人として生活を送っているあなたが弁護士になろうと決心しました。そこから司法試験合格を経て弁護士になるまでどのくらい費用が掛かるか考えたことあります?
なろうと思っておいそれとなれる職業ではないということはお分かりだと思いますが、一定の期間が必要な以上、どのくらい必要かはあらかじめ認識しておいた方がいいと思います。
というわけで、いち社会人が弁護士になろうと決心してから弁護士になるまでの費用を算出してみました。実際にかかる費用は当然個人差ありますので、あくまでスムーズに事が進んだ場合のモデルケースとして参考にしてみてください。
弁護士になるまでの過程
費用を試算する前に、思い立ってから弁護士になるまでの過程を確認しておきましょう。
過程を4段階に分けてみました。 流れとしては、司法試験受験資格を取得して司法試験合格、そして司法修習生時代ということになります。
司法修習が終われば法曹として社会に出ることができますから、司法修習修了までの費用ということになります。
- 1.予備試験合格or法科大学院課程修了
- 2.司法試験合格
- 3.司法修習時代
- 4.二回試験合格・司法修習修了
流れを確認していただいたところで始めますね。
1-1.予備試験合格までに必要な費用
予備試験は国家試験最難関クラスの試験ですので、しっかりした勉強が必要です。その勉強を力強くバックアップしていくれるのが予備試験予備校です。
この予備校を利用するといいでしょう。
予備校に掛かる費用
一般的に言って、予備試験予備校の費用は高めです。
予備校にもよりますが、予備試験予備校は10万円強~150万円以上(いずれも税込)掛かります。下、予備校の講座の予備試験講座の費用になりますので参考にどうぞ。
予備校名 | 最低価格(税込) | 最高価格(税込) |
---|---|---|
アガルート | 592,020円 | 3,958,460円 |
資格スクエア | 659,780円 | 703,780円 |
伊藤塾 | 1,148,000円 | 1,324,900円 |
LEC | 1,102,870円 | 1,323,300円 |
スタディング | 89,100円 | 119,900円 |
上の表を分布図にしてみました。縦軸が価格、横軸が予備校名(左からアガルート/資格スクエア/伊藤塾/スタディング/LECです)、青丸が最低価格オレンジが最高価格です。 目立つのがアガルートの最高価格講座です。これはある意味特殊というか、正直一般向けのコースとは言えずアガルート自身もそう認識しているようです。
実際、最低価格かつ普及版講座は十分安めの部類に入りますし、内容もさすが業界トップの人気を誇るだけの充実度です。 最低価格はスタディングです。10万円前後ですから文句なしの業界最安値。
ただし、他校に比較してケチっているなという部分も散見されます。 その他項目で比較したい方は参照にどうぞ。「司法試験予備試験予備校のおすすめ比較7選-元受験生が人気講座を徹底比較」
予備試験合格まで何年必要か
果たして予備試験合格まで何年かかるのか。当然個人差ある話ですが、最短でも2年~3年程度の期間は必要と思っていた方が無難です。
勉強を開始する時期の関係もありますし、社会人なら絶対的な勉強時間について不利と言わざるを得ませんので、実際に1年で合格はなかなか大変です。
費用含めた環境と本人のモチベ次第でしょうが、区切りは考えておいた方が良いと思います。その区切りまでにできる範囲で、効率的に勉強することにベストを尽くすと良いでしょう。
予備校講座費用以外にいくら必要?
受験勉強期間に予備校費用以外にかかる費用はと言えば、完全に個人差の世界ですので、具体的にいくら掛かるとは言うことはできませんが、何らかの出費は必要になるかもしれません。
例えば、最短でも2年3年は見なければと言いましたが、受講前に支払った予備校費用とは別に、何らかのオプション講座や単科講座を受講する人は実際に少なくないですし、公開模試(外部の受験生も受けられる模試)を受験するにも別途費用があります。
また、市販の参考書を復習用に揃える場合もあるかもしれません(例:アガルート一問一答)。
アイテム | 費用 | 備考 |
---|---|---|
オプション講座・単科講座 | 数万円 | 講座にもよるが、インプット講座のように何十万円もすることはないと考えられる。 |
公開模試 | 数千円 | 大手予備校講座であれば無料で受験できるところもあるが基本任意に別途有料受験 |
市販参考書 | 1冊3千円程度 | 科目毎。単価×科目数 |
通信講座で社会人でも大丈夫
社会人だと通学して通うのは事実上無理fですよね。ですので、通信講座を利用するといいと思います。予備試験受験にかかる費用
予備試験の受験自体は受験料だけです。受験料は17,500円。 「予備試験の日程 受験料や出願についても」 「予備試験の配点は?各試験の合格点はどのくらい?」 令和5年以降受験の方は大きな変更点がありますので注意してください。- 1次短答式試験:5月中旬実施(令和4年度まで)→7月中旬実施(令和5年度より)
- 2次論文式試験:7月中旬実施(令和4年度まで)→9月中旬実施(令和5年度より)
- 3次口述式:10月~11月実施(令和4年度まで)→翌年1月実施(令和5年度より)
1-2.法科大学院課程修了まで必要な費用

法科大学院の学費支援制度
いかにも高いですが、法科大学院にはいくつかの学費支援制度がありますのでご紹介しましょう。- 日本学生支援機構の奨学金制度
- 入学金・授業料免除制度
公立 | 私立 | |
---|---|---|
入学金 | 28万2千円 | 10万円~30万円 |
授業料(年間) | 80万4千円 | 60万円~150万円 |
法科大学院受験勉強費用
法科大学院受験準備は予備試験受験準備に準じた形で行うのが一般的です。法科大学院在学中に司法試験が受験できる
令和5年度より、所定の単位を取得して1年以内に課程修了見込の者は、司法試験の受験が可能になりました。なんでも、法科ルートは費用と時間について予備試験ルートと差があったため措置に踏み切ったとのことです。1-3.独学でかかる費用
「予備校なんて利用しないよ、自分の力で予備試験合格狙うよ」、つまり独学で予備試験合格を狙うという方法もあります。 こちらは、基本的に教材費の実費だけです。費用は掛け方次第なので一概には言えませんが、- テキスト・・・全科目で3万円台
- 六法全書・・・2000円~3000円程度のもので十分。ただし毎年買い替え必要。
- 問題集・過去問集・・・全科目で3万円台
司法試験受験資格を得るまでの費用まとめ
司法試験の受験資格を得るまでのルートは複数あるのでちょっと長くなってしまいました。ここで一旦まとめておきたいと思います。 ルート的には、- 予備試験合格
- 法科大学院課程修了
- 予備校
- 独学
- 予備校+学費
- 独学+学費
予備校 | 独学 | |
---|---|---|
予備試験合格ルート | 15万円~160万円
|
期間にもよるがトータル8万円~15万円の教材費+受験料17500円 |
法科大学院課程修了ルート | 230万円~670万円
|
230万円~520万円
|
何年掛かるか | 3年~5年目安で合格を目指したい | 予備試験合格はかなり厳しいが、法科は入学さえできれば最長3年で司法試験受験資格を得る |
2.司法試験合格まで

司法試験受験に掛かる費用
まず、司法試験の受験料は28,000円です。 そして、殆んどの受験生は司法試験対策予備校を利用することになると思います。司法試験対策講座を無料で受講する方法
司法試験予備校の費用、予備試験ほどではないにしても数十万はかかります。決して気軽に出せる額ではないと思います。- 受験料:28000円
- 対策講座費用:0~40万円程度
3.司法修習

司法修習の1年間
弁護士・裁判官・検察官の法曹三者になるには、「司法研修所」という最高裁判所管轄の機関で1年間研修を積む必要があります(司法研修所)。司法修習生には給料が出る
司法修習に掛かる実費は税金で賄われます。なんでしたらお給料も出ます。正しくは「給費」と呼ばれるものですが出ます。以前もあったのですが一時なくなりまして復活しました。司法修習生の出費は?
修習生時代にかかる費用というのは、結局、「生活費」ということになりそうです。既述のように給費は出ますが、月額13万5千円程度ではいささか心許ありません。司法修習生に最適なアルバイトとは
どんな生活にしたってお金は必要です。どうせなら、「趣味と実益」ではないですが、自分の特性を生かしたアルバイトがあればこんないいことはありませんよね。- 生活費(ただし、給費は支給される)
4.二回試験を経て司法修習修了へ
司法研修所への入所は12月ごろ、ここから1年間ですが、1年が迫ってくる11月ごろに「二回試験」と呼ばれる試験に合格できれば修習修了、晴れて弁護士として社会に出れます。社会人なら予備試験から弁護士を目指そう

- 予備試験には年齢・学歴等の受験制限がない
- 予備試験ルートの方が費用が掛からない
- 予備試験組の方が法科大学院組よりも司法試験の合格率が高い
仕事は続けるべきかやめるべきか
