
現在、司法試験予備校の通信講座はほとんどがオンライン講座になっているということは多くの受講検討者が知るところだと思います。ただ、そのオンライン講座の内容がどうなっているか、どこまでがオンラインでどこまでがそうじゃないのかのか、さらにそれがどういう意図・恩恵があるのかは既受講者ぐらいにしかわからないでしょう。
このページでは、司法試験予備校のオンライン講座の内容を知っていただき、その上で各予備校はどこまでオンライン化されているのかを比較してみたいと思います。
きっとあなたの予備校選びのお役に立つことができると思いますで、よろしければどうぞ。
オンライン講座とは
まずはオンライン講座について確認しておきましょう。
オンライン講座とは、PCはもちろん、スマートフォンやタブレット等通信機器を用いたインターネット配信で受講する講座のことをいいます。ひと昔の通信講座といえばDVDをプレーヤーで再生して講義映像を、というのが相場でしたが、現在はこのオンライン講座が主流になっています。
このオンライン講座、映像配信の方法は2通りあります。
- リアルタイムライブ配信
- オンデマンド動画配信
この2つの方式はいずれもオンライン講座で適材適所で用いられますがそれぞれどんな方式なのかは以下の通りです。
1.リアルタイムライブ配信
「リアルタイムライブ」とある通り、決まった時間にリアルタイムで配信する方式です。
「Zoom」等の配信システムを利用し、双方向コミュニケーションが可能ですから、オンライン会議で用いられるのはこのリアルタイムライブ方式です。
2.オンデマンド動画配信
録画動画をインターネット上アップして、そのURLにアクセスして配信する方式です。動画さえweb上にアップしておけば、あとは受講者都合でいつでもどこでもいくらでも視聴できます。
オンライン講座における配信方式の使い分け
2つの方式は場面によって使い分けができます。
- リアルタイム配信:オンライン質問やカウンセリング
- オンデマンド配信:一般的な講義動画
基本的にコミュニケーションが必要な場合はリアルタイム方式が用いられます。オンデマンドでは不可能ですから。他方、オンデマンド配信はweb上にアップさえしておけば、受講者はいつでもどこでも何回でも視聴でき復習に向いているという点がメリット講義向き方式です。
オンライン講座ではこの2つの方式はメインがオンデマンドでサブがリアルタイムの補完関係になります。
司法試験オンライン講座の中身
司法試験予備校の場合、上記2通りの配信方法と共に、いくつかの教材をオンライン化しています。予備校すべてがすべてのツールを採用しているわけではありませんが、主なものを列挙してみたいと思います。
司法試験オンライン講座の中身①-講義
司法試験予備校のオンライン講義は、どこもがオンデマンド配信になります。講義は通学講座を録画したものか、配信用に録画したものかのいずれか。いずれにせよ、録画した素の動画をそのまま流すわけではなく、何らかの編集が加えられています。
目次・タイムラインの追加
講義の編集で第一に欠かせないのが、目次やタイムラインの追加です。初めての講義だと最初から最後まで続けて視聴していけばいいと思いますが、復習等で特定の個所を呼び出すにはこの機能は必須ですよね。なくてはならない機能です。
講義時間の単位
上の目次機能をさらに効率化したのが動画の単元切りです。ひとつの動画が15~30分程度でまとめられ、視聴したい単元を見つけるのも容易です。通信専門予備校ではこういったスタイルで講義動画をまとめているところが多いです。外出時に勉強することの多い社会人には使いやすい機能といえるでしょう。
他方、通学講義を録画した動画はどうしても1コマ1時間と仕様がオンラインになじまないものになっています。通信講義用に別に撮るのはさすがにコストに見合わないです。
講義再生時間の調整
案外使える機能が早送り機能。2倍速ではさすがにせわしなさを感じますが、1.2倍速程度なら早口ながら十分聞き取れます。この機能の何が使えるかというと、当然時短です。すき間時間が30分しかなくても、30分以上の動画を観終えることが可能です。
毎回倍速だと疲れてしまう可能性もありますが、使い分ければ効率的勉強になることでしょう。
テキストと講義のオールインワン
単なる講義動画から発展して、テキストとのオールインワン化が進みつつあります。どういうことかというと、講義動画と同時にテキストの該当箇所を同時表示、というのがこの機能のベースになります。
さらに、予備校によってはその上で画面よりワンクリック質問機能や、六法いらずの条文クリック機能を実装している予備校もあります。
スマホよりPCの方が表示画面の関係でオンライン化の恩恵は得やすいですが、それでもスマホひとつあればどこでも受講できるというのはかなり便利だと思います。
オンライン問題集
復習目的のということですが、オンライン問題集・演習機能を実装している予備校もあります。これこそスマホ一つで完結できる復習です。昼食取りながらでも待ち合わせ時でもヘタしたら歩きながら(推奨はしませんが)でもできます。
オンライン以外の講義デバイス
講義の再生デバイスはなにもオンライン配信のみではありません。他にもありますので挙げておきましょう。
音声ファイル
司法試験予備校の講義デバイスの話ですが、昨今はmp3形式による音声ファイルが使える場合が多いです。利点は通信料が掛からないということ。
オンライン配信のデメリットは唯一通信料だと思うので、、使い分けたいところです。復習で使用するのはいかが?視線はテキストに耳は講義に。立派な復習時間です。ファイルはたいてい無料でそれぞれの管理画面からダウンロードできます。
DVD
前時代主流だったDVDもまだ存在しています。需要があるからなのでしょうが、数校でしか取り扱いはありません。オンラインより実費が掛かるので受講料も数万円高めです。
勉強環境は自宅一択だよという方は、通信料が掛かりませんしこれはこれで一つの選択だと思います。
オンライン講座の中身②-オンラインテキスト
オンラインテキストについては、講義とのオールインワンのところで述べましたが、テキスト固有の機能としては書込み機能を実装している予備校もあります。オンライン上から「加筆」「修正」「付箋」「マーカー」を完結することができます。
オンライン講座の中身③-オンラインフォロー
通信講座におけるフォローもオンライン化により迅速対応が可能になってきています。列挙してみましょう。
- 講義画面上から直接質問
- SNSを利用した質問
- Zoomによる講師に直接質問
- Zoomによる個別指導
- Zoomによるカウンセリング
さまざまなオンラインフォローが実施されています。各がどんなプログラムを行っているのかは個別にご紹介していきます。
司法試験予備校各校のオンライン講座を比較
上記オンライン機能をひととおり知っていただいたところで、司法試験予備校各校のオンライン比較をしてみたいと思います。
比べてみると、どこがオンライン化に積極的かそうでないか、個々にはこんな機能が使えてここでは使えない等、予備校選びの題材にしていただければと。
アガルート
講義デバイス | オンライン・音声DL |
---|---|
講義割 | 単元割 |
倍速機能 | 8段階 |
テキスト同時表示 | 〇 |
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テキスト書込み | × |
オンライン問題集 | × |
オンライン質問/オンラインカウンセリング | Facebook/Zoom月1・1回30分 |
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オンライン指導 | マネオプ通信、論文オンライン添削 |
その他 | 月1ホームルーム(動画配信) |
司法試験予備校最人気のアガルートですが、オンライン化については十二分に水準は満たしていると言えるでしょう。デバイスは社会人にも使いやすい仕様になっているし機能的にも最低限は満たしていると思います。
特に強いのはオンラインフォロー関係です。フォロー体制の充実度は受講生からもすこぶる評価が高いですし、hyプ番の良いマネオプもオンラインを生かしたプログラムです。
資格スクエア
講義デバイス | オンライン・音声DL |
---|---|
講義割 | 時間割 |
倍速機能 | 21段階 |
テキスト同時表示 | 〇 |
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テキスト書込み | 〇 |
オンライン問題集 | 〇 |
オンライン質問/オンラインカウンセリング | 〇/〇 |
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オンライン指導 | オンライン添削 |
その他 | AIによる模試「未来問」 |
オンライン講座の先駆者といえば資格スクエアをおいて他にはありません。創設当初からそうでしたし、未だにトップランナーを走っています。講義も復習も、オンラインの恩恵を多く受けることができるでしょう。
ただし、フォローについてはオンラインを生かしているとはいえず、この部分の充実は待たれるところです。
伊藤塾
講義デバイス | オンライン(ライブ、オンデマンド) |
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講義割 | 時間割 |
倍速機能 | 2段階 |
テキスト同時表示 | × |
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テキスト書込み | × |
オンライン問題集 | 〇 ※学習支援システム |
オンライン質問/カウンセリング | マイページより/スタッフ、合格者によるカウンセリング |
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オンライン指導 | オンライン添削、通学生はオンラインライブ配信講義可 |
その他 | 受講生オンライン交流会 |
業界の雄伊藤塾ですが、オンライン化について言えば若干ですが出遅れ感はあります。ただ、ここ1年で遅れ取り戻し感はありますので、すぐに水準には届くと思います。
また、もともとフォロー体制はしっかりしていますので、オンライン化に切り替わりつつある状況であって時間の問題でしょう。
LEC
講義デバイス | オンライン・音声DL・DVD(別コース) |
---|---|
講義割 | 時間割 |
倍速機能 | 2段階 |
テキスト同時表示 | 〇 ただしテキストではなくレジュメ(板書)表示 |
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テキスト書込み | × |
オンライン問題集 | × |
オンライン質問/オンラインカウンセリング | いずれも「教えてチューター」より |
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オンライン指導 | Zoomによるゼミ |
その他 | 受講生交流「教えてメイト」 |
一定のオンライン機能は有していますが、どちらかというと水準には欠ける感はあります。通信専門予備校と比べてはいけないのかもしれませんが、今後に期待と言ったところでしょうか。唯一DVDコースを設けられています。
スタディング
講義デバイス | オンライン・音声DL |
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講義割 | 単元割 |
倍速機能 | 3段階 |
テキスト同時表示 | × |
---|---|
テキスト書込み | × |
オンライン問題集 | 〇 |
オンライン質問/オンラインカウンセリング | × |
---|---|
オンライン指導 | × |
その他 | × |
スタディングもオンライン講座で有名ですよね。機能的には多くはありませんが、講義はもちろん、テキストもオンラインで完結できるようになっています。
もっとも、コストの問題でしょうが、それ以上のものはなく、特にフォロー体制そのものがほとんど期待できません。ので、そこは割り切りが必要になります。
まとめ
いかがでしょう。以上、司法試験のオンライン講座についてお話させていただきました。今現在ここまで来ているのですから、今後さらにオンライン化は進んでいくことでしょう。
このオンライン化がどんな恩恵をもたらすかというと、もちろん、効率性・利便性です。オンライン化によってこれまでできない機能が実装されるようになり、それがまた受験氏に便利な機能だったりします。
それがひいては忙しい社会人が勉強をしやすくなる環境であり、社会人受験生が増えている理由の一つであると考えます。