行政書士試験の足切りを解説- 一般知識・法令の足切り回避策とは

国家試験には基準点という、一定の条件に達していないとその時点で不合格という制度を設けていることが多いです。その基準を「足切り」なんて呼んでいますが、行政書士試験もこの足切りを採用しています。

ここでは、行政書士の足切り点についてお話していきます。足切りを回避するためにどういった対策を採るべきかも解説していますので、よろしければお付き合いください。

行政書士試験の足切りとは

行政書士試験の足切り点については、試験運営機関である「一般財団法人行政書士試験研究センター」のHPに合格基準という形で記載があります。行政書士試験に合格するための要件として

  1. 行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、満点の50パーセント以上である者
  2. 行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、満点の40パーセント以上である者
  3. 試験全体の得点が、満点の60パーセント以上である者

の3点をすべて満たせば合格です。このうち足切り要件というのは1と2に当たります。つまり、試験総得点300点の60%以上すなわち180点以上(要件3)取れば合格なのですが、足切り要件である

  • 法令等問題で50%以上
  • 一般知識問題で40%以上

の点数を取らなければ総得点180点でも不合格ということ。足切り要件をもう少し詳しく見ていくことにします。

法令科目は50%未満では足切りに遭う

行政書士試験は満点取れば300点、そのうち法令科目は244点満点。これは択一式・多肢選択式・記述式すべて含めてです。

つまり、法令等全科目全出題形式で122点以上取れば足切りの一つはクリアです。逆に122点に満たない場合はその時点で不合格決定です。

一般知識科目は40%未満では足切りに遭う

一般知識は択一式14問(1問4点)あり、満点で56点です。40%は22.4点です。22.4点は採点上あり得ませんので、40%以上ということは24点になります。

というわけで、一般知識は6問正解の24点以上で2つ目の足切りクリアです。しかし、5問正解に留まれば試験の不合格は決定になります。

択一式にも足切りがある?

実はもう一つの足切りがあります。行政書士試験研究センターのHPにはこんな記載があります。

択一式問題の採点を完了した段階で、記述式問題の採点結果にかかわらず合格基準を満たしていないと認められる場合には、記述式問題の採点を行わないことがあります。この場合は、合否通知書に記述式問題の採点を行わなかった旨を記載します。

これだけ読むと、はっきり明確に示していなければならない基準にしては曖昧な部分があります。採点するかしないかはわからないとも読めますよね

択一式の出来が著しく悪いと記述式は採点されないかも

真相は択一式問題の出来が著しく悪い場合に適用されるルールなのだと思います。

記述式が採点されないのは、記述式問題の出来如関係なく法令等で足切りされる場合なのだと思います。記述式問題を採点したところで足切り回避はできないほど択一・多肢選択の出来が悪かった場合は記述式を採点すらしませんよということ。

となれば択一・多肢選択でも一定の点数を取らなければならず、要件の性質上明確にはできませんが、3つ目の足切り基準要件とも言えます。

行政書士試験の合格要件-まとめ-

行政書士試験に合格するための要件、まとめたいと思います。まずは足切り基準点はクリアすること。下の表にまとめました。

満点 足切り基準点
法令問題 244 122

※択一・多肢選択で著しく悪い点数も足切り要件

一般知識 56 24

その上で。合格要件の3つ目、トータルで180点以上の得点です。足切り基準点である122点+24点では178点、これでは不合格です。足切り基準点をクリアした上でトータル180点以上の獲得、これで行政書士試験合格です。下でまとめてみました。

行政書士試験の合格要件

試験科目の配点についてはこちらのページで詳しいので参照ください。→ 行政書士試験の科目別・出題形式別配点-合格のための得点計画を公表!

一般知識で足切り回避するための対策とは

行政書士の足切り点を知ることによって、試験勉強に臨むにあたって大事な点が見えてきます。それは一般知識で足切りに遭わないことではないでしょうか。

法令科目は誰もがどうしたって勉強しますので合格が視野に入る実力があれば半分程度は取ってきますので、法令足切り云々はあまり意識はしなくてもいいでしょう。

もちろん科目ごとの対策はありますが、第一には一般知識の対策です。

一般知識は勉強がしづらい科目

一般知識は科目の性質上、ちょっと試験勉強がしづらい部分があり、受験生にとっては悩ましい科目の一つとして挙げられます。

また、行政書士試験と言えば、どうしても法令科目に力を注ぎがちで、一般知識は重要な科目にもかかわらずスポットが当たらない点も否定できません。

一般知識は取れるところは確実に押さえること

そんな一般知識の足切り回避対策は、取れるところは確実に押さえて40%突破することを考えましょう。

一般知識は、出題問題について一部不確実な部分が多く、その部分は絶対取れるとは言い切れません。逆に、しっかり勉強すれば高い確率で正解できるような問題もあります。

足切り回避対策として、取れる確率の高い箇所は確実に取りに行き点数を稼ぐという対策がベストと考えます。

一般知識の科目ごとの配点分析をする

そのためには一般知識についての情報をしっかりとっていかなければなりません。

一般知識は

  • 14問で合計56点の配点
  • 足切り点は24点
  • 6問獲得で足切り回避

ここを踏まえて、分野ごとの配点を見てみましょう。下の表です。

政治・経済・社会 7問~8問(28点~32点)
情報通信・個人情報保護 3問~4問(12点~16点)
文章理解 3問(12点)

3分野ありますが、各分野をもうちょっと深掘りしてみたいと思います。

  • 政治・経済・社会:定期的に出題される定義問題も出題もあるが、時事問題的要素が大きい。この時事問題が厄介で最も勉強がしづらいし点数も取りづらい
  • 情報通信・個人情報保護:法律の条文問題だったり基本的な問題が出題。個人情報などは出題バリエーションも少なく勉強すれば最も点数取りやすい
  • 文章理解:完全に国語の問題なので得手不得手激しいが、予備校で対策練られており点数取りやすくなってきている

以上踏まえれば一般知で得点源にしやすい分野は

情報通信 > 文章理解 > 政治・経済・社会

つまり、「情報通信・個人情報保護」「文章理解」でできるだけ点数を稼ぐという戦略が良いのではないでしょうか。

一般知識の足切り回避対策-まとめ-

上記一般知識科目分析から、

  • 「情報通信・個人情報保護」「文章理解」の6問~7問から5問(20点)獲得
  • 「政治経済・社会」の7~8問から2~3問(8~12点)獲得

と読んでみても良いのかと思います。「情報~」「文章~」は、しっかり対策を取れば得点となってリターンを得やすいのでここを得点源にします。他方「政治~」は比較的不確実要素を含んでいるので正直あてにするのは危険です。ので控えめに。

行政書士試験の一般知識、相当手強いと感じている方もいらっしゃるらしいですが、幸いにも4割でOKという制度ですので、メリハリ付けて対策立てればそれほどおそれることはないと思います。

法令問題の足切り回避対策とは

法令問題足切り回避対策も押さえておきましょうか。

法令問題は300点満点中244点を占めており、足切り点は50%の122点です。この122点を憲法・民法・行政法・商法・基礎法学の5科目、さらに、択一式・多肢選択式・記述式の3つの出題形態があります。内訳は以下の通りです。

法令科目 出題形式/問題数 配点 科目配点
民法
  • 択一式:9問
  • 記述式:2問
  • 36点
  • 40点
76点
行政法
  • 択一式:19問
  • 多肢選択式:2問
  • 記述式:1問
  • 76点
  • 16点
  • 20点
112点
憲法
  • 択一式:5問
  • 多肢選択式:1問
  • 20点
  • 8点
28点
商法 択一式:5問 20点 20点
基礎法学 択一式:2問 8点 8点
  • 択一式:40問
  • 多肢選択式:3問
  • 記述式:3問
  • 択一式:160点
  • 多肢選択式:24点
  • 記述式:60点
244点

注力すべきは民法と行政法

法令の足切り回避対策はズバリ、民法と行政法に最大の心血を注ぐこと

上の表を見ていただければお分かりになると思いますが、配点率が高いのは民法と行政法です。この2つが満点であれば法令の足切りがクリアできるほどですね。この2科目に注力する戦略が吉と見ますが理由は以下の点

  • 科目の配点占有率が高い
  • 1問20点の記述式問題がある
  • 択一式問題が多い

配点が高い科目で点数取れればそれだけ稼げますし、何より得点源とできる択一式問題が多い。この2科目に労力を集中すれば学習効率的にも理にかなっています。

憲法も重要科目の一つとして認識

また、民法・行政法ほどではないにしても、憲法も重要科目として数えても良いと思います。それは択一・多肢選択併せて28点あり、出題形式的にも問題の難易度的にも得点源にしやすいからです。

行政試験で出題される憲法はさほど難易度は高くなく、条文と判例をしっかり準備できれば、きっと満足のいく結果が得られるでしょう。

捨て科目は基礎法学と商法・会社法

民法と行政法とは対照的な、いわゆる「捨て科目」はあるのでしょうか。

基礎法学と商法・会社法はメインから外しても良い科目だと思います。この2科目に注げる時間と労力の何割かを、重要科目に注いであげてください。

その理由を解説します。

基礎法学

基礎法学は2問だけ出題されます。占有率が低いというのもありますが、敢えて時間を取るべき科目ではないという結論です。

基礎法学とありますが、細かく問題を見てみると、憲法分野の基礎、民法分野の基礎であることが少なくありません。

つまり、知らずのうちに学んでいる可能性もあり、そうでなくとも過去問片手にどんな問題が出題されているのか遡ってみれば1問ぐらいは取れるのではないでしょうか。

商法・会社法

商法・会社法は択一式5問です。占有率はさほど多くないし、ガチで勉強するほどのリターンは大きくありません。範囲自体が膨大だからです。

だから、商法分野や会社法で頻出箇所を重点的に勉強して2問取れれば御の字というスタンスでもいいでしょう。その分民法や行政法、あるいは憲法に時間を割くべきです。

通信講座で効率的に学ぼう

もっとも、一般知識のどの分野のどの部分をどれだけ勉強していけばいいのか、膨大な範囲の民法・行政法を、必要な部分を必要なだけ勉強するのはなかなか大変、というか不可能だと思います。

社会人受験生の多い行政書士は、通信講座が充実していますので利用することをおすすめします。行政書士試験を知り尽くしている学校、受験ノウハウが豊富な講師は、時間と労力の軽減に役立つはずです。

費用も、独学勉強の場合と大きな差がなく利用しない手はないのかなと思います。

まとめ

以上、行政書士試験の足切りについてお話しました。足切りがあるというのは、人によっては不条理を感じるかもしれませんが、それはその職業の要請とも言えます。行政書士資格者として働く者にも一般知識の分野の知識が求められているのでしょうね。

行政書士試験は絶対評価という他の法律系国家試験にはない特徴があり、問題の難易度の割には試験の難易度はいうほど高くありません。

足切り回避策も突き詰めれば効率化です。選択と集中で効率的に勉強を進めていけば足切り食らうなんで悔しい思いなどしなくて済むし、十分太刀打ちできる試験だと思います。