代表民主制はより人権保障に資する

では、なぜ日本国憲法は間接民主制を原則採用しているのでしょうか?

間接民主制(代表民主制)の対概念である「直接民主制」とは、一般国民が直接的に国の意思決定に参加し、その意思を国の在りように反映させる制度です。

民主主義では、とある事案に関して十分な審議・討論を尽くすことが非常に大事になってきます。 例えば、「憲法改正」という非常に重要な問題があります。改憲派、護憲派、それぞれご意見があることでしょう。

日本の人口は約1億2千万人、有権者数でもきっと1億人ぐらいいると思います。その1億人が、北は北海道、南は沖縄まで広く分布しています。
となると、どうでしょう、一般国民が十分な審議・討論を尽くすとなると並大抵な事ではありません。事実上、不可能なのではないでしょうか。

そう、少なくとも日本程の人口を抱える国家にとって、直接民主制は現実的な話ではないのです。

十分な審議・討論が出来ないと言うのは、実は非常に危険な事で、それは多数決が勝つという状況になる可能性が強くなります。

もちろん、多数意見が採用されていくのが民主主義なのですが、それには十分な審議・討論が絶対条件になります。いろんな価値観の持ち主が、喧々諤々と意見をぶつけていき、妥協点を見出していくのが民主主義です。

でないと、声も小さい者や少数派に対しての人権侵害になり得る決定事項が出る可能性が高くなります。

また、あらゆるメディアの情報操作によって妥当な結論を見出すことも難しくなることもあり得るでしょう。これは、世界的な歴史が証明しているのではないでしょうか。

この点、間接民主制だと私達の代表者ですから、こう言ったデメリットは回避することが出来、より人権保障なると考えられています。


もう一度言いますが、多数決的民主主義というのは非常に危険な面を併せ持っています。

立憲的民主主義とはいろんな意見を十分に審議・討論し、出尽くしたところでその妥協点を見出すことです。 もちろん、多数意見が採用されるのですが、それにはこのような過程を経た上でなされるべきなのです。

日本国憲法での間接民主制の例外

日本は間接民主制は「原則採用」なので、例外的に直接国民に問う制度もあります。

それは、以下の3つの場面のみです。

第79条2項(最高裁判所裁判官の国民審査)

最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。

第95条(特別法の住民投票)

一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

第96条1項(憲法改正)

1  この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

日本国憲法では前文と43条に我が国は代表民主制とするとしておきながら敢えてこの3つだけ規定化し、代表民主制の例外規定を設けています。

となると、憲法改正がない限り、我が国で直接民主制を採用することは、憲法違反となる可能性が高いと思われます。

ただし、国民の意思を参考にするという趣旨での国民投票制度は許されると言っていいかもしれません。


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