法人に人権は認められるのか

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まず、「法人の人権」なんて言うと、違和感を感じる方も多いことと思います。
法人は「人」ではありませんから、人権なんていう概念があること自体おかしいですよね。

しかし、今日において、法人の社会的実体は社会生活の中で重要な役割を占めているのも事実です。

例えばです。

個人として犯罪を犯せば、憲法31条の要請に従って適正な手続きによってその犯罪が裁かれていきます。

第31条【法定の手続の保障】

何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

この規定に沿って刑法は適用され、そうでなければ大きな人権侵害を招く恐れがあります。

現代社会では、(刑法犯はあまりなじみがありませんが)法人として犯罪を犯す場面が結構ありますよね。この場合、法人にもこの適正手続規定が妥当されてもいいはずです。

法人にだって「表現の自由(21条)」が与えられるべきですよね。

また、法人とは個人個人の集合体ですから、法人に人権を与えることによって、間接的にはその法人の構成員に帰属するとも考えられます。

ただ、当然ながら、「人」と「法人」は違います。基本的に人権とは人が有している権利ですので、中には法人には馴染まない人権というものもあります。

法人に選挙権を与える必要なありませんし、人身の自由についての規定は法人には馴染みませんよね。

このように、人権とはそもそも自然人(「人」のことと同義です)に妥当するものであるが、今日の社会的実体としての重要性から考えて法人にも人権を認めていくべきと考えていきます。

しかし、すべての人権を認めるわけではなく、人権の性質上、可能な限りにおいて認める、と一定の制約があると考えていきます。

法人が人権侵害の主体になることもある

法人というものは、その社会的実体が自然人よりも巨大なため、人権享有主体性の問題において、2つの顔を持つことになります。

ひとつは、自然人に保障される人権が、法人にも認められるかの問題。ここまでお話してきたことです。

もうひとつは、法人自体が人権侵害の主体になってしまうことがある問題です。

法人はその規模によっては社会的影響力が強く、場合によっては国家権力に匹敵する社会的権力を有する場合があります。

これは、テレビや新聞などのメディアのことを言っているのですが、これはとんでもないほどの権力だと言うことはお分かりだと思います。 そういった社会的権力に自然人と同等の人権を認めても大丈夫だろうか、という問題点があることを認識して頂きたいと思います。

言うまでもありませんが、自然人とそう言ったメディアではその社会的影響力、財力がケタ外れに違います。前出の「八幡製鉄事件」では政治活動の自由についてのお話ですが、場合によっては、個人に政治活動の自由が法人の政治活動の自由によって潰されることだってあるでしょう。

また、メディアの表現の自由、報道の自由によって、個人の人権、具体的に言えばプライバシー権などが侵害されることだってあるわけです。 事実、メディアの「報道の自由」、あるいは、国民の「知る権利」を盾に、個人のプライバシー権が侵害されている場面がゴマンとあります。


もうひとつ、法人内部にいる自然人に対して人権侵害の主体となる問題です。

この場合も問題の所在は同様です。

法人とその内部にいる従業員たる自然人では、雇う身と雇われる身で、立場が違います。場合によっては、不当労働や特定個人に対して差別的待遇をすることもあるかもしれません。


このように、法人は人権享有の主体であるのと同時に、人権侵害の主体でもあることを認識して頂ければと思います。

これは、法人と自然人の人権を同等に考えてしまっている弊害であると言えます。

繰り返しますが、法人の人権が認められるのは「その性質上可能な限り」においてであって、自然人と同等に人権が認められるわけではありません。 出来れば、こういうことを問題意識として認識して頂ければと思います。


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