法の支配とは憲法における統治機構の具体化
「法の支配」という概念があります。
憲法の特質に記してあるシステムと同じような考え方ですが、もう少し統治機構にズームを当てて具体化している概念です。
「法の支配」とは、『専断的な国家権力の支配を排斥し、権力を法で拘束することによって、国民の権利・自由を擁護することを目的とする原理』をいいます。
場合によっては国民の権利を不当に侵害し得る国家権力を「法」の支配下に置き、もって国民の人権を擁護・保障していこうという概念です。
定義の中で出てくる「法」とは、憲法という意味で捉えてください。同じような概念で「法治主義」という言葉がありますが、「法の支配」とは異なる考え方です。
「法治主義」とは、法によって権力を制限するという点では同じなのですが、その「法」とは文字通り「法律」のことであり、「法の支配」とは意味合いが違ってきてしまいます。全ての国家権力を制限する憲法とは異なるものですよね。
話を戻して、法の支配の内容について触れていきます。
「法の支配」の内容
法の支配の内容として4つ挙げられますが、日本国憲法に当てはめて見ていきましょう。
- 憲法の最高法規性の観念・・・憲法があらゆる法の中で最高位に位置していることを示し、憲法に反する法は効力を持ちません。日本国憲法では98条の形式的最高法規性に当たります。
- 権力によって侵されない個人の人権・・・人権には永久不可侵性があり、その個人の人権を守るために法の支配という概念が存在するという考え方です。日本国憲法では97条に当たります。
- 法の内容・手続きの公正を要求する適正手続・・・法律の内容は適正でなければならない。国会が作った法律ならば、どんな法律でもよいなどということはない。憲法は法律の内容が適正であることを要求します。(下に補足)
- 権力の恣意的行使をコントロールする裁判所の役割重視・・・国会や行政の権力行使に歯止めをかける機関として重要な役割を担うと考えていきます。(下に補足)
「法の内容・手続きの公正を要求する適正手続」ですが、法律の内容のみならず、手続きの公正さをも要求されます。
これを「due process of law(適正手続の保障)」と言いますが、法の支配の中核的観念と言えます。
日本国憲法で言えば31条になります。詳細は別に譲りますが、どんな凶悪犯と言えどちゃんと弁護士を付けられるし、適正な手続きによって裁判を受ける権利があるということです。
ここを適正に行わないと、とんでもなことになるのは想像できますよね?
「権力の恣意的行使をコントロールする裁判所の役割重視」については、法の支配においては裁判所が非常に重要な役割を担うと考えていきます。
それは、国会や行政の権力行使に歯止めをかける機関として重要な役割を担うと考えていくのです。
具体的に言えば、国会が作って行政が国民に行使していく法律が不当に国民の権利・自由を侵害するものだったら、国民はどうすればようのでしょうか?
ここで登場するのが裁判所です。
不当に国民の権利・自由を侵害する法律は憲法違反である可能性が高いですから、裁判所は違憲立法審査権を行使し「当該法律は憲法違反である」との判断を出すことができます。
具体的な行使方法は他に譲りますが日本国憲法で言えば81条になります。
- 日本国憲法第81条(法令審査権と最高裁判所)
- 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。
