債務不履行

債務不履行とは

過払い金返還

【民法415条】(債務不履行による損害賠償)

債務者がその債務の本旨に従った履行しないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。 債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

債務不履行に関して解説すると、恐ろしく長くなってしまうので、損害賠償の部分は割愛して、ここでは「ある文言」に出てくる債務不履行についてご説明します。

まず「債務不履行」の意味ですが、これは皆さんが思っている通りです。債務者がなすべき義務を、何らかの形で履行ができなくなった状態ですね。

ちなみに、この債務不履行という概念は、契約後に何らかの理由でその債務を履行できなくなった場合に使います。

そもそも契約以前から履行できない場合は、「不履行」ではないしこの概念は使えません。

この債務不履行、場面場面によっていろんな形に姿を変えます。その一例として、先ほどお話した「ある文言」をご紹介します。

ある最高裁判決の判旨から

「貸金業者は、債務者から取引履歴の開示を求められた場合には、その開示要求が濫用 にわたると認められるなど特段の事情のない限り、貸金業の規制等に関する法律の適用 を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として、信義則上、その業務に関する帳簿に 基づいて取引履歴を開示すべき義務を負う」

これは、平成17年07月19日に最高裁判所第三小法廷で出された判決の判旨要約です。 貸金業者の債務者に対する取引履歴開示義務の有無についての判断ですが、
最高裁が債権者の取引履歴開示義務を認めた判決です。

債権者は債務者から取引履歴開示請求を受けたらそれに応じる義務がある、ということです。

では、どのような法律構成で取引履歴開示義務を認めたのでしょうか?上記判旨要約のポイント部分を抜粋します。

「金銭消費貸借契約の付随義務として、信義則上、その業務に関する帳簿に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負う」

わかりやすく言うと、金銭消費貸借契約には取引履歴開示義務が付随している、と言っています。逆に言えば、取引履歴開示を拒むのは債務不履行、と言っています。

「取引履歴開示請求拒否が債務不履行」の意味

金貸しは債務者との取引履歴を開示しなければならない義務なんて、普通は債務者の義務とはイコールで結びつきづらいでしょう?

でも、債権者と債務者はその立場も違うし、記録管理能力も違う。だから、債権者にそういった義務を課すことが債権者と債務者が「公平」になる、といった価値判断が働いたのでしょう。

文言に出てくる「信義則」というキーワードがその付随義務の根拠ですね。そういったバランスをとることが、信義に則っているんだ、と。

ちなみに、この「信義則」とは、民法の規定に出てくる概念です。

信義則とは、「社会共同生活において、権利の行使や義務の履行は、互いに相手の信頼や期待を裏切らないように誠実に行わなければならないとする法理。信義誠実の原則。」を言います。

過払い金返還

付随義務違反による債務不履行の一例

このように、債権債務は広い概念で使われ、直接的なものではないが、それぞれの権利義務には付随するものがあるということは覚えておいた方がいいと思います。

そして、その付随する根拠は「信義則」、すなわち、「そうでなきゃおかしいでしょ?」という一般的価値判断に基づくものです。このように、付随義務違反による債務不履行は、よくあります。

例えば、引越し。
引越しで業者が運んでいる家具に傷をつけてしまったとします。 引越し業者の本来の債務は、債権者(この場合は、引越しを依頼した人ですね)の荷物を目的地へ運んで、搬入することですよね?

運んだ荷物に関しては、何か具体的な債務は負っていません。
でも、荷物を安全に、損壊させないように注意して運ぶのは常識(信義則による付随義務)でしょう?ということです。

この場合も、信義則により債務不履行責任を問うことが可能になります。